牛乳を飲むとお腹が張ったり、お腹を壊してしまう人っていますよね。
僕もそうです。
牛乳が好きだったのに大人になってからはだんだんと、飲むとお腹がゴロゴロと鳴ったり、お腹を下すようになっていきました。
いくら好きとはいえ、お腹が痛いのを我慢してまで牛乳を飲むのはつらいものです。
本記事では、なぜそんなことが起こるのかという理由と、それでも牛乳が飲みたいときにどうすればいいのかという対策についてまとめました。
己のためにも、ね。
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- 牛乳を飲んで腹痛、ゴロゴロ、下痢になる原因は消化できない体質だから
- 分解酵素が減っていくのは普通のこと?
- 乳糖不耐症でも乳を口にしたいとき
- 牛乳アレルギーはまた別の症状
- おまけ:乳糖不耐症に関する根拠不明の言説
牛乳を飲んで腹痛、ゴロゴロ、下痢になる原因は消化できない体質だから
僕以外にも牛乳を飲むと、お腹が痛くなって下痢をする人はたくさんいると思います。その原因は、牛乳を消化するための消化酵素(乳糖分解酵素:ラクターゼ)が足りていないからです。
乳糖は、主に牛乳や乳製品に含まれている糖で、小腸の内層の細胞で産生される乳糖分解酵素により分解されます。
乳糖分解酵素は糖の複合体である乳糖を、ブドウ糖とガラクトースという2つの構成要素に分解します。
この2つの単糖類は腸壁から血液中に吸収されます。
乳糖分解酵素が欠乏すると、乳糖を消化吸収できなくなります。その結果、高濃度になった乳糖が小腸に水分を引き寄せ、下痢を起こします。
吸収されない乳糖は小腸を通過して大腸に入り、腸内細菌によって発酵し、鼓腸と酸性便を起こします。
引用元: 乳糖不耐症: 吸収不良: メルクマニュアル 家庭版
つまり分解されずに残った乳糖(ラクトース)が下痢を引き起こしているということですね。
また、大腸の腸内細菌が乳糖を発酵させると、それによって発生したガスによってお腹がゴロゴロ鳴る(腹鳴)ということも起きるわけです。
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分解酵素が減っていくのは普通のこと?
意外にも乳酸分解酵素(ラクターゼ)が成長とともに減っていくこと自体は、日本人なら誰しもに起こることのようです。
乳酸分解酵素の濃度は乳児で高く、母乳や牛乳の消化が可能となります。しかし、多くの民族(黒人とヒスパニックの80%、アジア人のほぼ100%)で、離乳後に酵素の濃度が低下します。
(中略)
しかし、北西ヨーロッパの白人系の80~85%は生涯にわたって乳酸分解酵素を産生するため、成人でも牛乳や乳製品を消化することができます
(中略)
この「不耐症」が実は世界人口の75%を超える人では正常な状態であることは興味深い点です。
引用元: 乳糖不耐症: 吸収不良: メルクマニュアル 家庭版
基本的に、乳糖分解酵素は赤ちゃんのときは母乳を飲むから必要だけど、大人になってからは必須ではないから減っていくんでしょうね。
減るのは減るけど、その減り方が大きい人というのが、大人になったら牛乳が飲めない人ということでしょう。
牛乳好きな人が牛乳を飲めなくなるのはツラいことですが、大人になってからの乳糖不耐症は病気とまではいえないようです。
また、中には乳児の頃から分解酵素が不足している人もいて、こちらは治療が必要という意味で病気に分類される例ですね。
余談ですが、なぜ欧米人だけが分解できるのかということに関しては、次のようなことが言われています。
欧米人は1万年前くらい前に牧畜が開始された頃から牛乳を飲んでいます。一方、日本人の多くが牛乳を飲むようになってからはまだ100年も経っていません。欧米人は、1万年の時間を費やして徐々に大人でも乳糖を分解できるように進化していった(進化は言い過ぎかもしれませんが、遺伝子を適応させていった)と考えられます。
最近では自宅できる遺伝子検査キットというものが売られていて、自分が遺伝的に乳糖不耐性かどうか調べることもできるようになってきました。
この記事で紹介している遺伝子検査キットのうち、「GeneLife Genesis」と「ジーンクエスト」というキットで、乳糖不耐性の検査をすることができます。
乳糖不耐症でも乳を口にしたいとき
牛乳を飲むとお腹がゆるくなる人は、乳糖が分解できなくなっているというのは上で書いたとおりですが、その程度は人によって様々なようです。
ですが、ひと工夫すればお腹を痛めずに牛乳や乳製品を口にできるようにするためのアイディアはあります。
自分のお腹と相談しながら、試してみてください。
温める
冷たいものを飲み過ぎると下痢になります。これは、寒冷刺激による下痢です。
つまり冷たい牛乳を飲むと乳糖と寒冷刺激のダブルパンチで下痢を誘発してしまいます。
なので、温めることで冷たいものよりはお腹に優しくなります。
僕の実感としても温めた方が大分マシですね。
ヨーグルト、チーズなどの発酵乳製品を食べる
発酵乳製品をつくるときには牛乳に乳酸菌を添加して発酵させますが、このとき乳酸菌が乳糖を栄養源として消費するので、乳糖の含有量が減ります。
また、乳糖はホエイ(乳清)に多く含まれていますので、製造の工程でこれを取り除くチーズはさらに乳糖の量が減ります。
とりあえず乳を口にしたいという場合にはこれらを食べると良いでしょう。飲み物がよければドリンクタイプのヨーグルトもありますね。
乳糖を減らした牛乳を飲む
画像:アカディ 1000ml|牛乳・乳飲料|雪印メグミルク株式会社
雪印メグミルクがアカディという乳糖を減らした牛乳を販売しています。普通の牛乳と比べると、風味が結構変わっています。一度試してみて、美味しいと思えたらこれもありだと思います。
ここで紹介したのは一般的な方法ですが、僕が考えだした牛乳好きな乳糖不耐症の人のためのアイディアを以下の記事で紹介しています。
牛乳アレルギーはまた別の症状
似たような症状が出る(下痢や便秘などの消化器異常)ものとして牛乳アレルギーがあります。
こちらは牛乳に含まれるたんぱく質に身体の中の免疫が異常に反応して起こる症状ですので、原因が全く違います。
最悪命に関わることもありますので、アレルギーの疑いがある場合は病院を受診し医師の判断に従いましょう。
おまけ:乳糖不耐症に関する根拠不明の言説
乳糖不耐症について調べていたら根拠が曖昧な言説があったので、ここに残しておきます。
もし、これらに関する研究成果やそのソースをご存じの方がいたらコメント等でお知らせいただけると幸いです。
・牛乳の量を少しずつ増やしていって腸を慣らしていけば乳糖不耐症は治る?
これ、本当でしょうか?筋肉と一緒で鍛えれば強くなるというのはわかりやすい話ですが、乳糖の負荷を与えることで乳糖分解酵素の発現量が増えるという科学的根拠はあるのでしょうか?
・ヨーグルトなどで乳酸菌を摂れば腸内の乳酸菌が増えて、その乳酸菌由来のラクターゼが腸内で増え、乳糖(ラクトース)を分解してくれるから症状が改善する。
乳酸菌が乳糖を分解するのはそうでしょうが、症状が改善するほど乳酸菌が定着するのか?
例え定着するとしても大腸で乳糖が分解されれば、それは腹鳴が起こるメカニズムと同じだから症状が改善されないのでは?
という疑問が残ります。
一見効果がありそうな噂話も、ちゃんと科学的に効果が立証(実際に人で試して効果があったのか?)されているもの以外は、信用しないようにしたいところです。
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