「もっと楽に生きたい」
悩み多きこの世の中では、そう感じている人は多いんじゃないでしょうか?
ぼくも悩みごとが多いタイプで、どうしたらもっと肩の力を抜いて生きていけるのかを常に考えてきました。
しかし、「楽をする」というと何か怠けているようなイメージもあります。
人生の壁や悩みから逃げているイメージ。
だから、「楽に生きたい」という発想自体がダメなんじゃないか、というジレンマもありました。
ですが、このことを長いあいだ考えていた僕は、楽に生きることは決して悪いことではない。
むしろ、これにより「自己の成長」や「人生の成功」に近づける。
ということに気付きました。
この記事では、
- 人生を劇的に楽にする方法
- 楽に生きることでなぜ「自己の成長」や「成功」につながるのか?
ということをお話しします。
もっと楽に生きるためにはどうすればいいか?
人生を劇的に楽にする方法。
それは、「自分への期待値を下げる」ことです。
これはどういうことか?
ぼくは為末大さんの『逃げる自由』という本を読んでこの考えを持つに至りました。
人の悩みの多くは、「自分のあるべき姿(理想とする自分)」と「思わしくない現状(今のダメな自分)」のギャップから生じます。
そして、そのギャップがいつまでも埋められないから悩みが一向に解消しないのです。
「なんで自分はこんなこともできないんだ」と。
ギャップが埋められないということは、その人がいま「高すぎる理想」を掲げているということです。
能力以上の目標を設定しているということですね。
言い換えれば、自分自身への期待値が高すぎるのです。
例えば、ぼくは大学時代ひどい人見知りで、飲み会の場で上手にしゃべれないことがよくありました。
目を合わせることもうまくできず、話の流れにもうまく乗れないのです。
そんなぼくを尻目に、次々と笑いを取り、みんな楽しませるトークを展開する友人を見ると、劣等感を感じずにはいられませんでした。
それはもう悔しくて、惨めな思いをしていました。
この劣等感は、ぼくの自分への要求水準が高すぎたことから生じています。
目もうまく合わせられないぼくにとって、多くの人をドッカンドッカン笑わせることはハードルが高すぎたんです。
自分への期待値が高すぎる状態で、その理想と現実のギャップを埋められないことに苦しんでいたのです。
ではどうすればいいか?
この高すぎる期待値を適正なレベルに引き下げてやればいい。それだけのことなんです。
ところが、みんなコレが中々できません。
なぜ、ぼくらは高すぎる理想を掲げ、その要求水準を下げることができないのでしょうか?
それは、ぼくらが他人との比較や世間の常識からその理想像を作り上げているからです。
「あの人が言っているから、このくらいはできないといけない」
「もう30代だから、このくらいは」
「女だから、コレはできないといけない」
「あいつもできるんだから自分も」
という風に。
本来、目標というものは自分の現在の実力をもとに、現実的な高さを設定しなければなりません。
しかし、多くの人は他人をモノサシにしているので、自分の能力とは無関係に理想像が作り上げられてしまう。
そして、プライドや思い込みが邪魔をするので、その期待値を下げることができないのです。
つまり、ぼくらが掲げる「あるべき姿」は、他人から押し付けられた理想や世間の常識でできており、自分というものが置き去りにされています。
よって、やるべきことは1つです。
自分の意思で高すぎる期待値を下げてやらなければなりません。
自分の実力に見合った適正なレベルに修正する必要があるのです。
為末さんは言います。
独り歩きしている理想、目標、基準……そんなものから距離を置いてみる。
距離ができると、その理想はそれほど価値のあるものなのか、それは誰の理想なのか、といったことを冷静に考えることができるようになる。
これによって、過剰に大きく広がった理想と現実のギャップに苦しまず、楽に生きることができます。
問題:理想と現実のギャップが大きすぎる
↓ なぜ?
自分への期待値が高すぎる。
そして、その期待値が下げられないから
↓ なぜ?
他人との比較や世間の常識によって理想像を作り出しているから。
そして、プライドや思い込みが邪魔して、その要求水準を下げることができない。
解決法:自分への期待値を下げる
目標を下げた方が成長・成功できる
期待値を下げる、つまり理想や目標を下げるというとネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。
「自分を甘やかしているのではないか?」
「低い目標で自分を納得させるための言い訳なんじゃないか?」
と。
ぼくも初めはそういう印象を持っていました。
しかし、これは違いました。
高すぎる目標を下げてやることは、自分の成長を促す上でも非常に合理的なんです。
これは以下のような簡単な実験で、科学的にも証明されていることです。
1つのモニターがある部屋に犬を1匹を入れます。
この部屋は、「モニターが点灯した時に、モニターの近くにあるボタンを押すとエサが出る」という仕組みになっています。
この部屋に犬をしばらく入れておくと、犬は「モニター」と「ボタン」と「エサ」の関連性を学習します。
そして、犬はモニターが点灯すれば、エサを食べるためにボタンを押すようになるのです。
画像:『受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 』(著:池谷裕二)より
ここからが重要なのですが、
この実験では、学習のさせ方によって課題の習得のスピードが全く異なるのです。
まず、犬を「モニター点灯時にボタンを押すとエサが出てくる部屋」に最初から入れた場合。
この場合、犬の学習のスピードは遅く、何回もエラーを起こします。
なぜなら、この課題は犬にとってかなり難しいものだからです。
この課題には因果関係が2つあります。
つまり、
「ボタンを押せばエサがでる」という関係
「図形が点灯したらボタンを押す」という関係
の2つです。
その2つを同時に学習することが、犬にとって難しいのは当たり前です。
効果的に覚えさせるためには、この2つの手順を分解して、ひとつずつ丁寧に犬に教えるようにします。
①まずは、画面の点灯とは関係なくボタンを押しさえすればエサが出てくるように設定した装置の前で、課題を完全に覚えさせます。
②そして、これを学習したあとで、モニターが点灯した時だけエサがでるような設定に変えて、画面点灯との関係を再度じっくりと覚えさせればよいわけです。
画像:『受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 』(著:池谷裕二)より
このようにすれば、犬の学習が格段に早くなります。
2つの関係を同時に覚えさせるのではなくて、1つ1つの段階をわけて覚えさせるのは、一見遠回りのように見えます。
だけど、実際には格段に学習効率が高いのです。
この犬の実験ですと、覚えるまでの失敗数は10分の1くらいになります。
たった1つのステップを切り離して覚えるだけで、なんと学習効率が10倍にもアップするのです。
参考:『受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 』(著:池谷裕二)より
これは人でも同じことが言えます。
勉強でもスポーツでも仕事でも、基礎ができていないのにいきなり応用的なことをしようとしても、満足に習得できるわけがありません。
人だって1度にたくさんのことを意識して行動することはできませんから。
大学時代のぼくを例にあげれば、いきなり「笑いを取ること」を目標にするのではなく、「しっかり目を見て話すこと」「きちんと会話のキャッチボールをできるようになること」などから始めるべきだったんです。
しかし、「あいつができてるんだから自分も」と先を急いでしまい、冷静な判断ができていませんでした。
最初から高度なことにチャレンジするのは非常に効率が悪い。
自分の今の能力に見合った目標を持つことがいかに重要かということがわかりますね。
このようにある高度な技術を小さなステップに分けて覚える方法をスモール・ステップ法と言います。
目標は高ければ高いほど良いわけではなく、自分の今の能力に応じて決めなければならない。
目標が高すぎる場合は、それを小さなステップに分解する。
そうすることで、着実に自分を成長させることが、成功をつかむための1番の近道だということがわかってもらえたと思います。
まとめ
- 自分への期待値を適正なレベルに下げることで楽に生きることができる
- 期待値(目標)を下げた方が、結果的に成長のスピードは速い
周囲の圧力や思い込みによって吊り上げられた期待値を下げて、スモールステップ法で小さな成長を積み重ねていく。
そうすれば、楽に生きながら成功を掴むことができます。
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