ノンストレス渡辺の研究日誌

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街で同じ服を着たヤツに会ったときの「あの気持ち」

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服を着るならこんなふうに (1) (単行本コミックス)

ある日の街中。

 

同じ服を着た男に、出会ってしまった。

全く同じプリントTシャツに、履いているジーンズもやたらと似ている。

 

胸元に輝くあのロゴマーク。

間違いない、ぼくが着ているのと同じTシャツだ。

 

何ともいえない気まずさが、

どこからともなくこみ上げてくる。

その気まずさに耐えかねて、

一目散にその場を離れる。

時速7キロの速歩き。

 

なぜ、気まずいと思うのだろう。

同じTシャツを買うくらいだ。

気の合う仲になれそうなのに。

 

これが同族嫌悪というヤツか?

同じ極の磁石のように、

反発するのがぼくらの定めか。

 

まあ考えても仕方がない。

気を取り直して本屋に行こう。

 

 

本屋 

ああ、だけどダメだった。

 

やっぱりぼくら似た者同士。

行き先だって、似てしまうのだ。

 

そしてやっぱり反射的に、

ぼくはその場を去るのであった。

 

どうしてそう頑なに、

ぼくは彼から逃げるのか。

 

ぼくは何から、

目を逸らしているというのか。

 

ぼくと彼はただ、

同じ感性を持ち合わせているだけなのに。

 

逃げる必要などなかったのだ。

ただ向き合えばよかったのだ。

 

だけど彼はもういない。

本屋にももういないだろう。

後悔してももう遅い。

 

だけど。

 

だけど、ぼくらまた会えるだろう。

ぼくらならきっと会えるだろう。

 

だって僕らは。

同じTシャツを着た者同士なんだから。

 

そして、もしまた会えたなら。

同じTシャツの君にまた会えたなら。

今度は逃げずに君に言うよ。

面と向かって君に告げるよ。

 

今日言えなかった、この言葉を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あっち行けよ。」