肉や魚を誰でも簡単に、ありえないほど美味しく調理できる低温調理。
今回は低温調理器の中でも国産メーカーで知名度トップのBONIQ(ボニーク)についてレビュー。
結論だけ先に言うとこのような感じ。
使い心地 | 国産なので使いやすい |
---|---|
料理の出来 | 言うまでもなく美味い |
オススメできるか | できる |
使い心地をざっくり1言でいうと「使いやすい。知名度は伊達じゃない」ということに尽きる。
もちろん、できあがった料理(今回は鶏胸肉の鶏ハム)も絶品だったので言うことなし。
というわけで、何がそんなに素晴らしいのかという事を詳しく熱弁していく。
※YouTube動画でも紹介してます(記事末に動画貼ってます)
- 低温調理器BONIQ(ボニーク)とは?
- 低温調理の何がそんなに良いの?
- 使い方
- 実食
- スペック
- 【重要】BONIQは分解洗浄できる
- 他メーカーとの違い(ANOVA、Felioなど)
- 動画でも紹介してます
低温調理器BONIQ(ボニーク)とは?
BONIQ(ボニーク)は葉山社中(はやましゃちゅう)という会社が販売する低温調理器。
この会社は低温調理を世の中へ普及させる事だけを目的にしてる非常にマニアックな会社だ。低温調理の美味そうなレシピを雨の日も風の日もWeb上に無料公開し続けている事実からもその熱意がうかがえる。
ぼくも低温調理はもっと広く普及して欲しいと思っているので、この理念にはとっても共感しているところ。
低温調理の何がそんなに良いの?
この辺のことは別記事で詳しく紹介するつもりだが、簡単に説明すると次の3つが挙げられる。
- とにかく美味い
- 食費が節約できる
- 健康になる
❶ とにかく美味い
肉や魚をコンロで普通に調理すると100℃を超える熱に曝され、食材から水分や旨味成分が流出してしまう。これにより肉は固くなり旨味も失われる。だが低温調理器を使えばこういった変化が起きない絶妙な温度帯(60℃前後)で加熱できるので、肉は柔らかく、旨味もしっかり残した状態で仕上げる事ができる。
❷ 食費が節約できる
①の原理により、安いけどイマイチ美味しく調理できない食材(鶏胸肉や鶏ササミや鶏レバーなど)も劇的に美味しく調理できるので、食費を節約できる。
❸ 健康になる
②のような食材は”脂肪が少ない”、”鉄分が多い”、などの意味で健康的な食材であると言える。また、コンロとフライパンによる加熱調理では、肉が高温になりすぎて発ガン性物質(HCAs:ヘテロサイクリックアミンやPAHs:多環芳香族炭化水素)や終末糖化産物(AGEs)などの有害物質が生成される。食卓に低温調理を取り入れればこれらの健康を害する物質の摂取量を減らす事ができて非情に健康的だ。
使い方
では使い方を解説。
低温調理器での調理はわかりやすく言うと湯煎料理の1種。流れとしては、
- 大きめの容器に水を張る
- その水を低温調理器で5~60℃の絶妙な温度に温める
- ポリ袋に入れた食材を入れて加熱する
という3ステップ。
❶ まず鍋などの適当な容器に水を張ってBONIQをセット。
本体にクリップがついてるので簡単に容器に固定できる。
クリップが高さ15センチぐらいの位置にある関係で、容器は最低でも高さが16センチぐらいは必要。
容器はこういった大容量の耐熱ボックスを使ってもいい。
ボニークは15Lまでの水量に対応してるので、大きい容器を使えばそれだけ食材を一気に大量調理できるので便利。
水ではなく50℃ぐらいのお湯を入れると設定温度に速く到達する。(低温調理器は設定した水温を維持する機能に優れているが、速く温度を上げることはそこまで得意ではない)
❷ 電源プラグをさし込んで、温度と時間を設定。
BONIQは国産メーカーなので、プラグが2P。
低温調理器は海外製のものも多く(ANOVAとか)、プラグに変換器を付けないといけないものも多いので、2Pはありがたい。
下画像中の矢印で示したダイアルで設定値の上げ下げができる。
ボタンをポチポチ押して設定する低温調理器も多いが、それよりスピーディーに数値を上げ下げできるので使いやすい。
左のボタンで温度、右のボタンで時間を設定。
設定したら真ん中の▶(スタートボタン)を押して、設定温度になるまで待機。
駆動音も特に気にならないレベルで静か(記事末に貼ってる動画で実際の音が聞けます)。
❸ 食材の準備をしてBONIQで加熱。
設定温度に達するまでの間に食材の準備をする。
今回は低温調理の定番・鶏胸肉を調理していく。
100g48円。相変わらずの安さ。
今回はシンプルに塩と胡椒で味付け。
胡椒以外にもバジル、クミン、ローズマリー、ニンニク、カレー粉、塩麹とか、色んな調味料でバリエーションを楽しめる。
塩は加熱の前にふるか後で入れるかで派閥があるが、今回はオーソドックスに事前にふっておく。スパイス・ハーブ類はたんぱく質の酸化を抑える働きがあるので事前にふっておこう。
調味料をふったら耐熱袋に入れ、準備完了。
耐熱袋はこちらの商品が1枚あたりが割安だし丈夫なのでオススメ。
設定温度になったら「ピーピー」という音で知らせてくれる。
そうしたら食材を投入。
袋の口は空けた状態で、食材の重さを利用してドボンと落とすようにして入れると袋の中の空気が抜けてくれる(記事末の動画を見るとわかりやすいです)。
これで食材に均一に熱が通るようになる。
あとは耐熱のクリップで口を閉じて、設定した時間加熱されるのを待つ。
〜60分後〜
設定時間が経過すると、またピーピー言って知らせてくれるので、そうしたら食材を取り出して氷水で冷やす。
ここで冷やすのは、そのままにしておくと予熱でどんどん肉が硬くなるから。
冷めたら切ってお皿に盛る。
すぐに食べない場合はここで冷蔵庫や冷凍庫で保存してもオッケー。
実食
ではいよいよ実食。
美味い。
普通にソテーしたりボイルした鶏胸肉とは比べ物にならないしっとりと柔らかい触感。そして噛むたびに染み出す鶏の旨味。
比較のためコンビニのサラダチキンも食べてみたが、やはりぜんぜん違う。
コンビニのサラダチキンも進化していてかなり柔らかいのだが、結着肉のようなグチョッとした食感。
低温調理の方は、肉の繊維の食感を残しながらも、肉がもともと持っている水分・旨味を保持しているのでしっとりとジュージーな味わいになっている。
これが100g48円の肉かと思うと、低温調理は本当にすごいな。
スペック
BONIQのスペックを表にまとめた。
サイズ | 37×10~16×6.7cm |
本体重量 | 1.2kg |
コード長 | 1.5m |
設定温度 | 5~100℃(0.5℃単位) |
温度安定性 | ℃±1% |
循環ポンプ | 最大8.50LPM |
最大湯煎容量 | 15L |
設定時間 | 0~99:59(分単位) |
消費電力 | 800W |
電圧 | 100V/50-60Hz |
固定方式 | クリップ式 |
無線接続機能 | なし |
専用アプリ | なし |
【重要】BONIQは分解洗浄できる
BONIQは上の画像のようにカバーを取り外して分解洗浄ができる。
これが意外にかなり大事な機能。
使っているうちに内部のコイルやスクリュー部分に小さな糸くずやゴミなどが入ってしまう事がある。取り除かないとエラーが出たり、故障の原因となるが、カバーを取り外せないと掃除をすることができない(そしてカバーを取り外せる低温調理器は意外と少ない)。
ゴミが入った程度でいちいちカスタマーセンターに送るのは手間すぎる。だが無理に自分で取り外そうとすると保証の対象外になる。長く安全に使いたいなら外せないポイント。
他メーカーとの違い(ANOVA、Felioなど)
低温調理器で有名なのがアメリカのAnovaという製品。
また、僕も以前使っていたFelioという製品は、国内メーカーでありながら価格も安かった。
合わせて読みたい
低温調理器Felioレビュー:安く極上料理を作れるスグレモノ
下の表でBONIQも含め3製品の主な性能を比較した。優れている点は赤字、欠点になりうる点は青字にした。
Felio | Anova Nano | BONIQ | |
対応 言語 |
日本語 | 英語 | 日本語 |
税込 価格 |
9,427円 | 1,5388円* | 2,1780円 |
高さ | 37cm | 32.5cm | 37cm |
本体 重量 |
1.27kg | 0.7kg | 1.2kg |
設定 温度 |
0~95℃ (0.5℃単位) |
0~92℃ (0.5℃単位) |
5~100℃ (0.5℃単位) |
消費 電力 |
1000W | 750W | 800W |
固定 方式 |
クリップ式 | ネジ式 | クリップ式 |
無線 接続 機能 |
なし | Blutooth | なし |
コン セント |
2P | 3P | 2P |
専用 アプリ |
なし | あり(英語) | なし |
カバー 取外し |
不可 | 不可 | 可能 |
*別途送料が1700円程度かかる
どの製品も普通に低温調理を楽しむには支障のないスペックを持っている。
なので選ぶ際にポイントになるのは、
- 対応言語
- 無線機能
- カバー取り外し
- 価格
の4つ。
対応言語については、取扱説明書やアプリ、カスタマーセンターへの問い合わせ時などに関係してくる。英語を扱うのが得意ではないという人は日本語にしておいた方が無難。また、海外製品はコンセントが3P仕様なので別途変換コネクタを購入する必要もあるので注意。
無線機能があるとアプリを通じて温度や時間の設定をしたり、アプリから検索したレシピ(温度・時間設定)をそのまま本体へセットしたり、自分で作ったレシピを保存したりできる。また、マニアックな使い方として自動でのマルチステップの調理(60℃で加熱した後に75℃で加熱する、など)もできる。ただ使いこなすと便利だが、なくても困ることはない。実際は、本体の操作パネルから温度設定することの方が圧倒的に多い。
カバー取り外しは前述したとおり大事な機能。内部のコイルやスクリュー部分に入ったゴミは取り除かないと故障の原因となる。カバーが外せない海外製品でゴミを詰まらせてしまい、修理しようにもカスタマーセンターともうまく連絡がとれなかったという人を知っているので、カバーを外せないタイプを買うのはちょっと勇気がいる。
価格。安いに越したことはないが必要な機能を備えている事を前提に、財布と相談して決めることが重要。
以上の点を踏まえると、結論としてはこうなる。
Felioがおすすめな人
- 日本語対応で手軽に低温調理を楽しみたい
- 是が非でも予算を1万円以内に抑えたい
必要な機能は揃っていて、価格も安く、日本語対応。カバー取り外しができないのがややネックだが、予算をどうしても1万円以内に抑える必要がある人にはオススメできる。
Anova Nanoがおすすめな人
- 英語を難なく読める
- どうしてもアプリの機能が使いたい
英語が読めて、マルチステップなどのマニアックの使い方がしたい人はAnovaを買ってもいいだろう。ただAnova Nanoもカバーの取り外しができない(日本語サイトにはできると書いてあるが、英語サイトのFAQにはできないと明記されている。Anovaの日本語サイトには他にも誤植がチラホラ)ことに注意。変換コネクタの購入も忘れずに。
BONIQがおすすめな人
- 日本語対応で使いやすい低温調理器が欲しい
- 手入れ可能な機器で長く安心して使いたい
安定感で言えばやはりBONIQ2.0。国内メーカー品で、そして何よりカバーの取り外しができるというのはかなりでかい。安心して長く使いたいという人はBONIQ2.0が1番合っている。
そんな感じで自分に合った低温調理器を買って欲しい。
個人的には、やはり日本での使用に最適化されて、メンテナンスも可能で長く使えるBONIQが買いだと思っている。せっかく買ったのに壊れたら損するしね。
動画でも紹介してます