ノンストレス渡辺の研究日誌

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知らないとヤバい…ストレスがあなたの体の中で起こす悪事の数々【ストレス反応のしくみ】

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「学校・会社に行くのがツラい」

「きつくて家事が手につかない」

「あの人が苦手だ」

 

いまの時代こんなストレスは誰でも感じています。

つまり言い換えると、誰もがこれくらいのストレスはあって当然だと思っています。

 

しかし、「この何でもないありふれたストレスが、私たちの身体を確実に蝕んでいる」と聞いたら、どう思いますか?

そもそも、「私たちがストレスを感じたとき、体の中で何が起こっているか」を知ってますか?


この記事ではこの2点、つまり、

ストレスが引き起こす体内の変化

それがどのようにしてわたしたちの身体を傷付けているのか

をわかりやすく解説します。

 

ストレスを失くしたいと思う人にとっては、その対策をする上で必要不可欠な知識です。

 

 

ストレス反応は脳から始まる

まずは、ストレス反応の全体像を見てみます。

下の画像にまとめました。

 

ストレス反応概観

 

とてもシンプルですね。

 

しかし、この記事ではもう1歩踏み込んだ、詳しいところまで解説しようと思います。

 

一見、別に知らなくていい小難しい知識に思えます。ですが、ストレスの仕組みを知ることは、その対策をする上でとても重要です。

必要な部分だけシンプルにまとめましたので、ぜひ頭に入れておいてください。

 

1ストレスの原因となる出来事があると、それを脳の扁桃体*1という部位が感知する

扁桃体の反応

扁桃体

*1扁桃体
恐怖や不安、ストレス反応の「引き金」を引く役割を持つ脳部位(右の画像の赤い部分)。
「扁桃」とはアーモンドのこと。形がアーモンドに似ていることからこの名前が付いている。

 

2扁桃体がストレス信号を脳の視床下部*2という部位に送る

扁桃体から視床下部への反応

視床下部
*2視床下部
脳の底部に位置する(右の画像の赤い部分)。自律神経やホルモン分泌を調節することで、ストレス反応をコントロールしている。

 

 

3すると視床下部は身体に以下の2つの指令を出す

ストレスホルモンの分泌
視床下部が発する1つ目のシグナルは、ストレスホルモンを出せという指令である。このシグナルは最終的に体内の副腎*3という部位に伝わり、ここからストレスホルモン(アドレナリン、コルチゾールなど)が分泌される。これらのホルモンが血流にのって全身をかけ巡り、さまざまな臓器に影響を与える(後述)

交感神経の興奮
視床下部は2つ目のシグナルとして、全身の交感神経*4を興奮させる指令を出す(詳細後述)

視床下部から副腎、交感神経へ

副腎

*3副腎
腎臓の上部に位置する器官(右の画像の赤い部分)。コルチゾール、アドレナリン、ノルアドレナリンなどのストレスホルモンを分泌する。

*4交感神経
自律神経*5の1種。*5の解説を参照。

*5自律神経
臓器から末端の血管まで、体の隅々まで張り巡らされている神経。心臓や血管など、自分の意思と関係なく勝手に動いている(=人間の意思から独立して自律している)臓器に通っている神経。身体を緊張させる「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」の2つからなる

 

 

ここまでの内容を図と文章でまとめます。

 

ストレスを感知したときに
体内で起きていること(イメージ図)▼

ストレス反応まとめ

 

①ストレスがあると、それを扁桃体が感知する

 ↓

②扁桃体が視床下部にストレス信号を送る

 ↓

③視床下部が各器官にストレス信号を送ることで、

 ・副腎がストレスホルモンを分泌し
 ・全身の交感神経が興奮する

 

ここまでで、ストレスによって「ストレスホルモン分泌」と「交感神経の興奮」が起こることがわかりました。

では、この2つが私たちの身体にどんな影響を与えるのか?

ここからが本題です。

 

ストレスホルモンと自律神経が身体に与える影響

各臓器ごとに、ストレスによる影響をまとめました。

とくに、脳への影響に関しては、とてもショッキングな内容なので注意して読んでください。

 

心臓

1心臓

血中に分泌されたアドレナリンは心臓に届けられる。すると、心臓は心拍数が増えて、血圧が上昇する

多くの人が体験したことがある、緊張して「心臓がバクバクする」という状態。この状態が頻繁に続くと、心臓に負担をかけることになる。

 

2血管

ストレスにより興奮した交感神経は、全身の血管をぎゅっと締め上げる。その結果、血管が細くなり、血圧が急激に上昇する。
日常的にストレスを感じている人は、この反応により心臓の血流量が減少することで、心筋梗塞のリスクが2倍になると報告されている。

 

血液

3血液

ストレスホルモンによって、血小板同士が結合し、血液が固まりやすくなる。
血液がドロドロになれば、より心臓に負担がかかることになる。
さらに血液が固まると血栓ができてしまい、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症(エコノミークラス症候群)のリスクが高まる

また、肝臓に貯め込まれている糖分が血液中に放出され、血糖値が上昇する。
糖尿病やその予備軍の人にとっては、症状が悪化する原因となる。

 

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胃酸の分泌と、胃酸から自分の胃を守る粘液の分泌は自律神経がコントロールしている。

ストレスにより交感神経が興奮しすぎると、自律神経の働きのバランスが乱れる。それにより胃酸の分泌が増え、粘液が減るということが起きてしまう。その結果、自分の胃酸で自分の胃の組織を破壊してしまう

 

5免疫細胞

免疫細胞の働きも自律神経がコントロールしている。

ストレスによって自律神経のバランスの乱れが続くと、免疫細胞にも「あるタイプの細胞が増え、別のタイプの細胞が減る」というアンバランスが起こる。これにより免疫細胞同士の連携が取れなくなり、結果的に免疫力が低下する。

免疫力の低下は、ガンを始め、様々な疾患のリスクを高める

 

脳

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ストレスが、脳を破壊することがわかっている

例えば、マウスに慢性的なストレスを与えると、海馬の神経細胞が縮んでしまうことがわかっている。海馬とは、記憶・学習・感情に関わる脳部位だ。

また、うつ病の患者では、脳画像診断で海馬が小さく萎縮して、脳に隙間が空いていることも報告されている。
過剰なストレスホルモン(コルチゾール)が、海馬にダメージを与えているからと考えられている。

海馬の機能から考えて、この現象がうつ病の症状に関与しているという見方も多い(抗うつ薬の投与で、海馬の萎縮が改善したという報告もある)。

あなたが日常生活の中で不安やストレスを感じているとき、「つらいな」と感じているとき。
そのとき、体内では脳が物理的に傷つけられている。
「ストレス」は言い換えると「心へのダメージ」だが、その心の本体である脳が、文字どおり本当に傷を負っているということである。

 

 

このように、日々の何でもないストレスは確実にあなたの身体を傷つけ、命を削っています。

まったく気持ちのいい話ではないですね。

しかし、具体的にどう身体に悪いのかを知らなければ、ストレスを失くそうという気も起こらず、知らないうちに心と身体が傷だらけになってしまいます。

 

ストレスを感じたときは、「今、脳の扁桃体が〜」とか「ストレスホルモンが出てるな」などの体内の変化をイメージして、そのストレスは放置していてはいけないのだということを思い出してください。

 

ストレス対策についてはこちらの記事に詳しく書かれています。 

ストレス対策記事

人生からストレスを一掃するために知っておきたいこと【ストレスコーピング】

ストレス発散法100個公開 & あなたもリストアップするべき理由

 

参考文献

 

参考サイト

国立循環器研究センター

脳科学辞典

 

脳・臓器画像引用元

Anatomography