2019年の前半は、朝起きて活動しようとすると身体がずっしりと鉛のように重かった。毎日電話で「居場所と予定と貯金残高」を確認してくる恋人と同じくらい重かった。
で、色々試した結果、デカフェ、つまりカフェインをやめる事が1番効果があった。
「こんなに違うのか」と、はっきりと効果を実感できるレベルで。ほんとに身体が軽くなった。
カフェインはコーヒーだけでなく、緑茶、ほうじ茶、ジャスミンティー、チョコレートなど意外な食品にも入っているので、知らず知らずにその害を受けてしまっている人もいるかもしれない。
デカフェの効果
デカフェする前は、本当にツラかった。
朝起きた直後は割と普通なのに、その1~2時間後にいざ活動を開始しようと外に出て歩いたり、仕事をしようとPCに向かうと途端に重力が2倍になったように手足がダルい。
だから、そのダルさを取り払うためにカフェイン入りの緑茶をガバガバ飲んでいた。
緑茶を飲むとだいぶマシになるので、コレなしでは生活できないと思っていた。強制的に身体のスイッチを入れるために、緑茶を飲んだ上で階段ダッシュをしたりもしていた。
そういう事もあり、ダルさの根本原因はカフェインかもしれないという疑いはありながらも中々デカフェに踏ん切れず。
しかし、休日を利用して思い切ってデカフェをしてみたところ、効果てき面。
3日後ぐらいには明らかに身体が楽になっていた。朝に感じていたあの「世界の終わり」かのような身体のダルさがない。
やはり体調不良の原因はカフェインだったか、と気づいた。
カフェインをやめると体調が良くなる理由
結論から言うと、「睡眠の質が良くなるから」。この影響が1番大きい。
カフェインといえば「眠気覚ましの効果」がある事で有名だ。
この効果は、カフェインが脳内の眠気物質・アデノシンの働きをブロックすることで発揮される(1)。
アデノシンという物質は、以下のような仕組みで人の眠気をコントロールしている。
朝から夜にかけて脳内のアデノシンの量が増えていく
↓
アデノシンが脳内のアデノシン受容体に結合する事で眠気が誘発される
↓
眠っている間にアデノシンが減る
↓
覚醒後からは再びアデノシンが増え始める
このように、アデノシンがアデノシン受容体に結合することで人は眠気を感じる。
ここで、カフェインを体内に取り込むとどうなるか。
カフェインは脳内へと移行すると、アデノシン受容体に結合する。
こうなると、アデノシンはカフェインが邪魔で受容体に結合できなくなる。
これがカフェインを摂取すると眠気を感じなくなる仕組みだ。
ところが、このカフェインが体内から無くなるのには時間がかかる。
専門的な表現をすると、カフェインの半減期は5~7時間。
もう眠るべき時間になっても体内にカフェインが残っていると、アデノシンが受容体に結合できず、眠るのに必要な眠気が生まれなくなる。
これにより、睡眠時間や睡眠の質の悪化が起きる。
そして、睡眠が悪化すると本来眠っている間にリセットできるはずのアデノシンがかなり残ってしまう。それにより翌日は朝からかなりの眠気・ダルさが襲ってくる。
つまりカフェインは、その時の眠気やダルさを先送りにして一時的な活力を生み出しているに過ぎない。
このカフェインによって生まれたダルさを、さらにカフェインによってごまかすというのもやりがちなミスだ。
そうなると、眠気物質アデノシンの負債が一向に減らないという負のスパイラルに突入する。まさに僕もこのスパイラルに陥っていたわけだが。
つまり、カフェインを断つと、眠気物質アデノシンが夜にちゃんとリセットされるようになる。
これがデカフェで体調がよくなる理由だ。
カフェイン感受性が高い人は特にオススメ
▲カフェイン感受性は遺伝子検査キットで調べる事ができる
「コーヒーをガバガバ飲んでいるのにしっかり眠れてる人もいるじゃないか!」と思った人もいるかもしれない。
この現象は、”カフェインの効き方に個人差がある”ために生じる。
いわゆる体質だ。
- カフェインの代謝が遅く、体内からなかなかカフェインが減らない人
- 同じカフェイン量でも、カフェインの効果が強く出るという感受性の高い人
こういう人は、カフェインによる体調不良も起こりやすくなってしまう。
カフェイン感受性は個人差が大きすぎるため、食品安全委員会もカフェインの1日摂取許容量(ADI)を設定できずにいる(2)。
カフェイン感受性は遺伝子検査キットでも調べることができる。
ぼくもGeneLife Genesisという遺伝子検査キットで調べたが、やはりカフェイン感受性が高い体質だった。
自分の体質を遺伝子レベルで知っておく事は、体調管理をする上でかなり役に立つ。
カフェインが入っている食品まとめ
デカフェをするにはまず、何にカフェインが入っているかを知る必要がある。カフェインが含まれる食品をピックアップした。
カフェインが入っているもの(含量はカップ1杯150mLあたり、チョコレートは板チョコ1枚分50g)▼
コーヒー :90mg
玉露 :240mg
せん茶 :30mg
番茶 :15mg
ほうじ茶 :30mg
玄米茶 :15mg
ジャスミン茶:12mg
烏龍茶 :30mg
紅茶 :45mg
純ココア :10mg
コーラ :15mg
エナジードリンク(レッドブル) :48mg
チョコレート(カカオ70%) :42mg
*引用元データより100g=100mL 換算で再計算。
*純ココアは粉末5gをお湯150mLに溶かした値
*引用元:コーラ→(3)、レッドブル→(4)、チョコレート→(5)、ジャスミン茶→(6)、それ以外の飲料→(7)
けっこう色んなものにカフェインは含まれている。もちろん、チョコやコーヒー、お茶の成分を含むお菓子などにも含まれることになる。
カフェなどでこれらを避けようと思うと、かなりメニューが限られるので一苦労だ。
純ココアはコーヒーより断然カフェイン量が少なく、味もビターで美味しい。カフェイン摂取量を減らすのに一役買ってくれる。
反対に、カフェインを含まないものはこんなものがある。
カフェインが入っていないもの▼
麦茶
十六茶
爽健美茶
ハーブ茶
ルイボス茶
キャロブ
キャロブというのはカカオの代用として使われることもある、カフェインフリーの食品のこと。
これらの食品をうまいこと使って、カフェインを避けていきたいところ。
カフェイン・マイルールを作ろう
カフェインを完全にゼロにするのは難しい。
なので、自分の体質に合わせてカフェインに対するルールを作っておくと、体調を保つのに役立つ。
ちなみにぼくのルールはこんな感じ。
- 1日の上限は30mg
- 20mgを越えたら次の日は0にする
- 午後2時をすぎたら摂取しない
- カフェインを摂った日は寝る前にメラトニンを飲む
- アルコールを飲む日は完全に断つ
上に書いた「カフェインを含まない食品」や純ココアなどの「カフェインが少ない食品」、「遺伝子検査キット」などをうまく利用して、自分なりのルールを作ってうまくカフェインと付き合っていこう。
参考文献
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(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
日本食品標準成分表2015年版(七訂)第2章 16嗜好飲料類