掃除。
それはやらなくてはいけないと分かっていながらも、億劫なもの。
自分の部屋が汚れたり散らかっていっても他人が困るわけでもないので、特に1人暮らしの人なんかは掃除を怠りがちになっていきます。
そんな掃除ですが、やらないでいるとどうもメンタルヘルスが悪化する可能性があるよう。
そう聞くとちょっとビックリしますね。
本記事では掃除をしないことで、メンタルヘルスがどんどん悪化する可能性があることを心理学的な立場で見ていこうと思います。
逆を言うと、「今、精神的に参っている人は掃除をした方がいい」という理由を心理学的に説明するということでもあります。
気分が落ち込んでいると掃除する気も起きにくく、掃除しないことによる心理的な悪影響がさらに積み重なっていき、どんどんメンタルヘルスが悪化していくということにもなりかねません。
忙しいと時間はないし、ストレスもかかっていることから、この負の連鎖に陥りやすくなるので注意が必要です。
小さな悪の放置が人の心に及ぼす影響
掃除をして気分がスッキリしたという経験をした人は少なくないと思います。
これには以下のような心理学的現象が関与しているものと思われます。
参考にした書籍はこちら。
街中で壁や公共物に、落書きや派手なイタズラ書きがされてるのを見たことってありますよね?
これらの落書きなどが、人の心理に及ぼす影響を調査した研究があります。
落書きが集中している都市では、それに比例するように、強盗や放火といった、落書きとは無関係なはずの重大犯罪も増加する
落書きでなくとも、たとえば「窓の割られた車」を街に一台放置しておくと、その近隣では急激に他の凶悪犯罪も増えるという。この悪の連鎖現象を、アメリカのケリング博士は「ブロークン・ウィンドウズ(割れ窓)現象」と呼んでいる。
そして同様な報告は他にもあるらしいです。
有名なのは「郵便受け実験」。
家の郵便受けの近くの壁に落書きがあったり、付近にごみが捨てられていた場合、その郵便受けから郵便物が盗まれる割合はなんと25%にものぼったという。ごみや落書きは、節操あるはずの大人の多くを泥棒に豹変させるというのだ。しかし、周囲をきれいにしたら窃盗行為はすぐになくなったという。
このようなことが起きる原因としては、「落書きや割れ窓という小さな乱れが、いつまでも放置されていること」にあるといいます。
本書では、こういったものが目に入ることによる小さなストレスが長く続く状況というのは、短く強いストレスにさらされるよりも、場合によってはダメージが大きいと説明しています。そうした精神的負荷によって心が荒んでいき、やがて犯罪に至るというのがブロークン・ウィンドウズ現象のメカニズムだと考えられています。
まあ本を読む限り、この現象のメカニズムについては憶測の域をでないようですが、ブロークン・ウィンドウズによって犯罪率が上がるという因果関係ははっきりしているようです。
また、次のような見方もあるよう。
心理学では、他人の行動を反射的に真似ることを「モデリング」と呼んでおり、その機能は赤ん坊の頃から備わっていることが実証されている。
モデリングは短期間では起きず、一定の長い期間を必要とする。ブロークン・ウィンドウズ現象は、モラルの低下という「習慣化した怠惰」を長期にわたってモデリングした結果、悪の連鎖をが発生するのかもしれない。
このようなブロークン・ウィンドウズを撲滅することで街の治安を取り戻そうとする動きもあるそうです。
実際、ニューヨークや札幌の歓楽街すすきので、ブロークン・ウィンドウズ(割れ窓や、落書き、駐車違反など)撲滅の取り組みを行ったところ、犯罪の発生率を低下させることができたそう。
悪いものはすぐ目の前から消す。汚いものは目に触れさせない。単純ではあるが、メンタルヘルスにとってこの現象の示唆するところは大きい
部屋が汚いのもブロークン・ウィンドウズと同類
ぼくはこれを読んでいて自分の部屋の掃除にも同じことがいえると思いました。
長らく掃除をしていないとどんどん掃除することが億劫になっていく。しかし、いざ掃除をして見ると、意外なほど爽快感を得ることができ、とても気分がよくなります。
そこで爽快感を得られるというのは、逆を言えば、それまで部屋が散らかっていたことで、気付かない内にストレスを感じていたということでもあります。
ブロークン・ウィンドウズと同じく、散らかった部屋の中にいるというのは、弱いけれど持続的なストレスに晒されているということになるわけです。
「気付かない内に」というのが恐い。確かに、散らかったところにいてもすぐさまストレスを感じることはないですが、ちょっとイライラしやすかったり、気分がダウナーな時にはそれが助長されるというのはありますね。振り返ってみると。
ブロークン・ウィンドウズのように犯罪に至るほどではないにしろ、心が荒んでいっているのは確かでしょう。
さらに、部屋の中の小さな散らかりを放置しておくと、気持ちが緩んで他の場所もどんどん散らかしていっても構わないという気持ちになります。これもブロークン・ウィンドウズ現象と同じですね。これによってどんどん部屋が汚くなっていきます。
まとめると、
小さな乱れを放置することはぼくらの心を徐々に蝕み、また、その乱れが徐々に広がっていくことにも抑制が働かなくなっていく、ということ。
ぼくも以前は部屋の掃除をサボりがちでした。部屋がどんどん散らかっていっても、「文豪・坂口安吾の部屋も散らかっていたから、部屋が汚くてもいいのだ」と自分に言い聞かせ、なかなか掃除をしませんでした(今思うと強引な言い訳だなあと思います)。
きっと部屋が汚い方がクリエイティブになれる。むしろ部屋を掃除するなど凡人のすることだ、と。
しかし、その後、とても重大なことに気付きました。
なんと僕は、坂口安吾ではなかったのです。
「坂口安吾→部屋が汚い」ですが、「部屋が汚い→坂口安吾」ではないのです。
何を言っているかわからないと思いますが、ぼくも何を言っているのかわかりません。
とにかく、ぼくには汚い部屋は合わなかった。特にこのブロークン・ウィンドウズ現象のことを知ってからは、汚い部屋にいることの心理的悪影響をかなり実感するようになりました。
誰しもが自分なりのスタイルがあります。合う・合わないは人それぞれです。坂口安吾が部屋が汚いからといって、万人の部屋が汚くていいわけではないのです(当たり前だ)。
ぼくには汚い部屋は合わなった。キレイな部屋の方が気分がよかった。
ぼくは見習うべき人を間違っていたのです。これからは部屋がキレイなクリエイティブピープルを目指します。
つまり、部屋が汚いことによる精神面への影響にももちろん個人差があるということです。坂口安吾はブロークン・ウィンドウズ耐性があったのでしょう。たぶん。
自分は神経質だとか、心理的な影響を受けやすいという人は、ブロークン・ウィンドウズ現象の影響を受けやすく、部屋が汚いことでメンタルヘルスが悪化しやすい人でしょう。
まぁ、精神衛生だけでなく、普通の衛生面でも掃除はした方がいいので、心の強い人も弱い人も掃除はした方がいいでしょう。
今回は、それに加えて心の健康の面でも良いことがあるよというお話でした。
どうしても自分で掃除できないときは?
しかし、1度部屋が汚くなってメンタルヘルスが悪化していくと「何もしたくない」という気持ちがどんどん強くなります。すると、当然掃除もしなくなるので、部屋がどんどん汚くなります。
部屋が汚くなる→メンタルヘルス悪化→何もしたくない→ますます部屋が汚くなる
という悪循環がどんどん進行していくことになります。
この悪循環を食い止めるためにはどこかで部屋を掃除しなければなりません。
しかし、本当に鬱がひどい人というのは、いくら頭ではわかっていても体が動かないことがあります。
そういう人の場合は、周囲の援助に頼るしかありません。
例えば、家族や友人などに手伝ってもらって掃除をするなどの方法が考えられます。
それがどうしても無理、気がひけるというのであれば、「家事代行サービス」に頼るという方法もあります。
家事代行サービスとは、忙しい独身世代や共働き世代のために掃除を始めとする家事を代わりに行ってくれるサービスです。
最近ではテレビ番組などでもよく紹介されるようになり、徐々に一般にも浸透していっています。
掃除をする時間がない、諸々の事情でどうしても掃除ができない、という人はこのサービスを使ってみるのも手だと思います。
お金はかかりますが、部屋がキレイになることの快感や精神衛生的なメリットにはそれだけの価値があるといえるでしょう。
現在どうしようもなく部屋が散らかっている人は、とりあえず1回だけ頼んでキレイにしてもらって、それを自分で保つようにするという戦略もありかなと思います。
サービスが気になった方は公式サイトをチェックしてみるといいと思います。
▼公式サイト
自分の部屋はできるだけキレイに保って、 精神的に豊かな日常生活を送っていきましょう。

クリーニングを出しに行くのが面倒だという人はこちらの記事をぜひ読んでください
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